外国為替及び外国貿易法改正に伴う輸出貿易管理令改正について

先日、外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)が改正された旨のブログ記事を書きました。その時点では施行日が未定でしたが、経済産業省の安全保障貿易管理のホームページ【METI】に施行日が、

平成29年10月1日

と掲載されました。この日は日曜日なのですが。

 

ところで、外為法改正に伴い、輸出貿易管理令(輸出令)も改正される模様です。改正内容は、外為法第五十三条の第三項・第四項の追加に対応するもので、まず、第十条が新設され、旧・第十条以降は第十一条以降へと繰り下げられます。新設される第十条の内容は以下の通りです。

 

(使用人)

第十条 法第五十三条第四項第一号に規定する政令で定める使用人は、使用人のうち、次に掲げる者とする。

一 営業所又は事務所の業務を統括する者その他これに準ずる者として経済産業省令で定める者

二 法第五十三条第一項又は第二項の規定により禁止された業務を統括する者その他これに準ずる者として経済産業省令で定める者(前号に掲げる者を除く。)

”経済産業省令で定める者”とありますので、これに対応する省令が、新たに発布されるか、既存の省令のどれかを対応する様に改正されるのではないかと予想します。

その他、旧・第十条以降の条文が繰り下げられますので、それに対応する形で、第四条、台七条、別表第二で変更が有ります。また、外為法第五十三条に第三項・第四項が追加される事に対する対応で、第九条に変更があります。

第四条 一 イ  第十三条 ⇒ 第十四条

第七条  第十条 ⇒ 第十一条

第九条  法第五十三条 ⇒ 法第五十三条第一項又は第二項

別表第二(第二条、第四条、第十一条関係) ⇒ 別表第二(第二条、第四条、第十二条関係

参考までに、改定後の外為法第五十三条を以下に示します。

外国為替及び外国貿易法 <改正後>

 

(制裁)

第五十三条 経済産業大臣は、第四十八条第一項の規定による許可を受けないで同項に規定する貨物の輸出をした者に対し、三年以内の期間を限り、輸出を行い、又は特定技術を外国において提供し、若しくは非居住者に提供することを目的とする取引若しくは当該取引に関する特定記録媒体等の輸出若しくは外国において受信されることを目的として行う電気通信による特定技術を内容とする情報の送信を行うことを禁止することができる。

 

2 経済産業大臣は、貨物の輸出又は輸入に関し、この法律、この法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反した者(前項に規定する者を除く。)に対し、一年(第十条第一項に規定する対応措置(第四十八条第三項又は前条に係るものに限る。)に違反した者にあつては、三年)以内の期間を限り、輸出又は輸入を行うことを禁止することができる。

 

3 第一項又は前項の規定による禁止をする場合において、経済産業大臣は、違反者(第一項に規定する第四十八条第一項の規定による許可を受けないで同項に規定する貨物の輸出をした者又は前項に規定する貨物の輸出若しくは輸入に関し、この法律、この法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分に違反した者をいう。次項において同じ。)が個人である場合にあつては、その者に対して、当該禁止に係る期間と同一の期間を定めて、当該禁止に係る範囲の業務を営む法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次項において同じ。)の当該業務を担当する役員(業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。次項において同じ。)となることを禁止することができる。

 

4 第一項又は第二項の規定による禁止をする場合において、経済産業大臣は、違反者に係る次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める者が当該禁止の理由となつた事実及び当該事実に関してその者が有していた責任の程度を考慮して当該禁止の実効性を確保するためにその者による当該禁止に係る業務を制限することが相当と認められる者として経済産業省令で定める者に該当するときは、その者に対して、当該禁止に係る期間と同一の期間を定めて、当該禁止に係る範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を禁止することができる。

一 当該違反者が法人である場合その役員及び当該禁止に係る処分の日前六十日以内においてその役員であつた者並びにその営業所の業務を統括する者その他の政令で定める使用人(以下この号及び次号において単に「使用人」という。)及び当該禁止の日前六十日以内においてその使用人であつた者

二 当該違反者が個人である場合その使用人及び当該禁止に係る処分の日前六十日以内においてその使用人であつた者

赤字は今回の改正で追加される部分。太赤字は、新設される輸出令第十条の根拠となる部分です。

山田 徹