大学の技術輸出管理とイランのアザデガン油田

2010年10月3日の日経の社説に「核不拡散で意味あるイラン油田開発撤退」というのが出ており、興味深く読んだ。

日本の国際石油開発帝石(株)がイランのアザデガン油田開発から撤退するという内容である。米政府はEUと協調して、エネルギー分野での対イラン制裁を強化しているが、米国の制裁法の対象企業リストに同社を含める可能性を伝えてきたという。同社は経産相が筆頭株主となっているので、日本政府系の企業であるとみなされている。

 日本の一般庶民としては、日本のエネルギー資源の確保の点から、「せっかく権益を確保しているのに、もったいない」という素朴な感想を持つ。一方、最近のイランの核開発に米国だけでなく日本国民も懸念を感じている。
国際的な枠組みで、核不拡散に取り組んでゆかねばならない。
 日本の多くの大学は、世界最先端の科学技術の研究・開発を行っているが、「技術流出」にまだ注意が十分には行き届いていないと思われる。研究成果の発表は、大学の研究者の仕事の第一であることは言うまでもない。しかし、国際的な枠組み(規制)の中で、それが許されているのも自覚しておく必要がある。米国原産の技術・製品の再輸出は、米国法で規制されており、それが日本にも及んでいる。
日本の大学の研究者が、国内で「非居住者」に技術を提供する時、および海外での研究発表では、内容が輸出許可の対象であるかを判断しなければならない。
 日本技術士会のCPRMセンター(コンプライアンス&リスクマネジメントセンター)は、そのような技術輸出の管理のお手伝いをしたいと思います。