安全保障輸出管理で規制されている金属材料について

当CP&RMセンターに所属する金属屋の技術士として
安全保障輸出管理のリスト規制に挙げられている金属材料について、専門でない方にも凡そどんな材料なのか解るよう解説してみます。

まず、マルエージング鋼について。
マルエージング鋼とはニッケル、コバルト、モリブデン、チタンを主要元素とする合金鋼で、オーステナイト域から空冷してマルテンサイト化しその後500℃くらいで時効処理(エージング)し(そもそもそれが名前の由来)金属間化合物を析出させて高強度高延性をえる合金です。この合金は1985年にINCO社が開発し、それから30年近く経っていますが、製造ノウハウ含め高度な性能を有するため特殊合金としてリストに挙げられ重要視されています。民生用の用途としてはばね用材料としてレーサーなどの高性能エンジンのバルブスプリング他に使われています。

外為法では輸出令別表第1の2項「原子力」4項「ミサイル」に規制の詳細が記載されており、日本から持ち出すに当たっては法令に則った正しい手続きが必要で許可なく輸出や技術提供した場合外為法違反になる可能性があります。輸出通関申告や中国への「技術提供(役務提供)」の際には是非当センターにご相談ください。

相談窓口 CP&RMセンター
03-5731-2382
金属部門技術士 田原 譲

次回は規制されているチタン合金について解説します。