安全保障貿易管理 技術用語解説集 No.2「アモルファス合金」

用  語 項  番
アモルファス合金 5-6省8

アモルファス合金(amorphous alloy) は、非晶質合金とも呼ばれ、アモルファス(非晶質)とは、原子や分子が不規則に密集している状態、また、そのような状態の物質のことを指す(図1参照)。多くの物質で液体(溶融)状態においてこのような不規則性が見られる他、固体ではガラス、ゴムなどの状態を言う。別の言い方として、ガラス(状態)あるいは無定形物質などとも言われる(※1)。

アモルファス合金の製造方法(図2参照)

金属元素を主成分とし、結晶性をもたない固体物質をアモルファス合金と言うが、通常これらの固体の金属や合金は、熱力学的に安定な結晶として存在するが、図に示すような超高速冷却法による凝固により、熱力学的に準安定状態を固定することによって、金属‐半金属(金属はFe、Co、Ni、Nbなど、半金属はP、B、Siなど)型、および金属‐金属(Fe‐Zr、La‐Cu、U‐Co、Ca‐Alなど)型の非晶質が多数得られている。大半のアモルファス金属は2種以上の元素を含むのでアモルファス合金あるいは非晶質合金という。
最も一般的な製法は、上記液体急冷法であるが、真空蒸着やスパッタリングなどによる気相凍結法、電着法あるいは結晶質に中性子やイオンを照射する方法も使われている。

アモルファス合金の特性と用途

結晶状態に特有な原子配列がない、つまり原子配列がランダムで粒界や転位などの結晶欠陥をもたないため、等方的かつ均質であり、従来の金属にない高強靭性、高耐食性、優れた磁気特性などをもつ。一方、高温では結晶化がおこるため、熱安定性に劣り、溶接加工ができないなどの欠点がある。高強度材料としてFe(75%)‐Si(10%)‐B(15%)の合金、高耐食材料としてFe‐Cr‐P‐C系、磁性材料としてFe‐Si‐B系などの例があり、薄膜で超伝導性を示すものも知られている2)。より具体的な用途例として、アモルファスシリコン太陽電池(amorphous silicon solar cell)があり、これは、珪素(シリコン)を基板上に非結晶質状態で薄膜形成して作る太陽電池であり、工程が簡単で、膜の厚さが単結晶シリコンの300分の1ですむが、光電変換率は単結晶シリコンの場合よりも劣る(※1)。

参考文献
1)『大辞泉 第二版』小学館
2)『岩波 理化学辞典 第5版』岩波書店

【図1】
アモルファス(非晶質)

【図2】
アモルファス合金の製造方法

 

主要メーカー等(製品例)URL

日立金属 製品情報
国立研究開発法人 物質・材料研究機構 磁性材料ユニット
株式会社BMG 金属ガラス製品のご紹介/金属ガラス
日立 アモルファス金属材料:環境適合製品リスト・データシート
株式会社中山 製品情報
三晃金属工業株式会社 製品情報
Panasonic 電池・エネルギー機器