「中古工作機械」の該非判定について

今年省令改正において、工作機械の位置決め精度について規制が見直された。核兵器を製造するには高度な加工性能が必要で、今までも位置決め精度が2項だと4㎜以下6項だと3mm以下だと許可申請が要るとなっていた。今回1メートル加工で0.9mm以下の精度を有するものは許可が要るということである。こうした高精度規制自体は安全保障の面から理解できる。
ただ違和感を覚えるのは、対象とするすべての工作機械に一律に投げかけられることに対してである。草の生えた空き地に野積みされている古いものまで数値データで非該当であることを証明しなければいけない。申告値制度等測定の負担を軽減する措置も取られてきてはいるが、中古機械には適用できないのが実態である。
数値証明するためには専門の計測業者に依頼して最低でも10数万円はかかる。日本では使えないけど途上国ではまだ有効活用できるリユース品に対してである。取引価格が高くなくて解体処分と天秤にかけられる位のものまでが数値証明対象である。そういった機械を高精度な新しい機械と同等に扱わなければいけない実情は何とかならないのか。
安全保障輸出管理の業務に携わる者として、外為法第1条の「対外取引が自由に行われることを基本とし、必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全を期し……」真意はわかるが現状は机上の飾り文章である。
国際社会との連携だからワッセナーアレンジメントやNSGとの協調対応はMUSTだとわかるが日本として運用で、もっと実情に合った改善をすることもできるのではないかと思う。

安全保障貿易管理士(法令) 田原 譲