STCエキスパート試験におけるEAR:平成29年度出題内容と平成30年度出題予測

 米国法EAR(Export Administration Regulations)は米国国内だけでなく域外適用されることから、貿易管理を行う上で必須の法律である。

 安全保障貿易情報センター(CISTEC)が主催しているSTC(Security Trade Control) Expert試験でも、EARに関する問題が25問のうちの3題出題され、うち択一式が1~2問、選択式が2~1問である。

STC Expert試験はAssociate試験、Advanced試験と比較して、はるかに難しいというのが受験者共通の認識である。しかも点数の配分の多い5問ある選択式問題のうち少なくとも1問はEAR問題なので、エキスパート試験に合格するためにはEARの勉強をおろそかにできない。

平成28年度のSTC Expert試験のうちEARに関する問題については、CP&RMセンターのブログに感想を述べた。今回は平成29年度のEAR問題の内容について、最初に記載する。

1.平成29年度のEAR Expert出題内容について 

昨年の平成29年度STC Expert試験を振り返って見ると、択一式としての問題が2問(問題19、20)、選択式として1問(問題25)が出題された。

内容はPart 734(問題25)、Part738(740) (問題20)、Part746(問題19)から出題されており、ほぼ対象となるPartとしては順当であったと思う。

  • Part 734問題:EARの定義に関する問題は平成28年度にも出題された。今回も問題25

として、国籍と米国政府(EAR)の許可申請の必要性が問われた。「技術の開示・提供」はともかく、枝4の「ソフトウェアの使用」の正否には戸惑った受験者も多いのではないだろうか。またこの問題は選択問題として出題されたが、難易度を考えると他の問題19、20を選択問題にすべきではないかと考えてしまう。

  • Part738問題:次に「規制品目リスト」について、問題20の枝A~Dに出題されている。

これはEARの基本中の基本が問われているので、容易に正解に至る問題であった。さて枝Eでは「規制品目リスト」の許可例外の記載が問われている。枝Eの「規制品目リスト」に記載されている許可例外として、4大許可例外(GBS、LVS、TSR、CIV)以外のTSUを取り上げることが適当であるかという疑問は残る。

  • Part746問題:さて残りの問題19はテロ支援国規制に関するものである。テロ支援国と

EAR99の関係に関する問題は再三出題されているので、良く整理しておく必要がある。

2.平成30年度Expert試験のEAR出題予測

ここでは、2019年3月11日(月)に実施されるSTC Expert試験の出題のうち、EARに関する出題を大胆予測する。       

  • Part740問題:許可例外の問題は平成26,27,28年度と3年連続して出題されたので、

さすがに出題者としても平成29年度は見送ったのではないだろうか。そうであれば今年の問題には、必ず許可例外から1問出題されると考えるべきである。

②Part738、740問題:「規制品目リスト」については平成29年度に出題されたが、CCC(Commerce Country Chart)と組み合わせた問題が数年に1度出題されていることから、今年は要注意である。

③Part744、746問題:例年Part744又は746が出題されている。昨年はPart746から出題されたので、今年はPart744から出題されるのではないだろうか。        

以上

横堀 勝一