大韓民国に対する輸出管理の強化について

韓国に対する輸出管理が強化されたことについて、この1週間、多くの報道その他を見聞きしました。極端な意見も多くみられましたので、私なりにこの問題を考えてみました。あくまで、私個人の意見です。

意見の中には、今回の管理強化は、自由貿易の理念に反するというものがあります。

ですが、そもそも、対象となった3品目(フッ化水素、フッ化ポリイミド、レジスト)は、戦争やテロに用いられない様、国際的なレジームの中、取引が規制されているものです。

ホワイト国(輸出令別表3に掲載された国)は管理体制が出来ている為、相手国の管理体制を信じ、輸出した後の品目の管理を委ねているのが、巷間言われているホワイト国の優遇です。

相手国の管理体制が信じられないならば、管理を厳しくするしかありません。報道には、管理体制について韓国との話し合いが長期間出来ていないとありました。話し合いの時期は過ぎているのです。

更には、韓国から北朝鮮への瀬取りのニュースも聞きます。北朝鮮は、国連で武器の輸出が禁じられた国ですし、米国からテロ支援国に指定された国でもあります。マレーシアで暗殺された金正男氏の事件は、まだ記憶に新しいです。

自由貿易を標ぼうする方々は、この様な国やテロリスト等に、兵器などが渡っても良いというのでしょうか。

ちなみに、輸出管理の元となる法律は、『外国為替及び外国貿易法』で、その目的には

第一条 この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、もつて国際収支の均衡及び通貨の安定を図るとともに我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

とあります。

決して、自由貿易に反するものではありません。

次に、単に管理強化であり、韓国がホワイト国に指定された2004年以前に戻るだけ、という意見もありますが、これにも異議があります。

私が気になるのは、なぜ、この3品目を先行して強化したのか、です。

別表1の3項に分類されるフッ化水素だけなら、理解出来ます。

フッ化水素は、ウラン濃縮にも化学兵器の原料にもなる物質だからです。テロリスト等の手に渡るのは、一刻も早く阻止する必要はあると思います。

でも、フッ化ポリイミドやレジストは、それだけでは兵器は作れません。

相手国の管理体制が信用できない状態で、輸出管理を強化しなければならないのであれば、輸出令を改正して別表3から外すだけでよかったはずです。この作業は、現在、進行しています。

わざわざ、運用通達などに、『り地域』という区分けを新設してまで、3品目だけを先行して管理強化するというのは、韓国の産業界への脅しと取られてもおかしくないです。

これについて、明確な説明をしている報道は、私が知る限り、一つも無いです。徴用工判決その他の報復ではないというのであれば、この3品目だけ先行して管理強化した理由を、政府は明確に説明するべきだと思います。、ゆ

文責 山田 徹