EARとファーウェイ華為技術(その2)

昨年5月23日当ブログに、「EARとファーウェイ華為技術」と題してトランプ政権が2019年5月15日EAR(Export Administration Regulations;輸出管理法)のSUPPLEMENT No.4 TO PART 744のエンティティ・リストEntity Listに、ファーウェイHuaweiを追加したことについて記載した。その後メーカーや商社から小職に問い合わせがあった。問い合わせの主な内容は、エンティティ・リストに記載された企業にはどのように対処すべきかということであり、「許可例外の使用は不可であること、そしてde minimis ruleは使用可能であること」をお伝えした。

さて2020年5月15日BISは「Commerce Addresses Huawei’Efforts to Undermine Entity List, Restricts Products Designed and Produced with U.S. Technologies 」と題する声明を出した。米国国家安全保障U.S. national securityのために、半導体を製造する際に米国製技術及びソフトウェアが使用された製品をファーウェイに提供することを制限するという内容である。具体的には直接製品のルールをamendingするとしている。中国向け輸出品に対するde minimis ruleの25%が低すぎるという意見もあったが、直接製品を厳密に管理することがより効果的であると考えたようである。

半導体は米中技術覇権競争の中心である。世界最大の半導体チップのfoundryであるTSMC(台湾積体電路製造)は、2020年5月15日同日に米国アリゾナ州に最先端半導体工場の建設を発表した。半導体メモリーの世界最大手であるサムソン電子は、唯一の海外工場を西安に有している。日本のメモリー会社であるキオクシア(旧東芝メモリー)やCMOSセンサーを製造しているソニーも、ファーウェイに製品を出荷している。

半導体の輸出には米国EAR法による直接製品管理の厳格化、そして外為法による韓国への半導体原材料の輸出見直しといった政治と技術の問題が凝縮されている。日本の半導体メーカーも影が薄くなってしまったが、CMOSセンサー、パワー半導体、AI向け半導体といった特徴ある分野での活躍を期待している。

横堀 勝一