ＥＡＲ：許可例外ＣＩＶの削除

米国商務省の産業安全保障局（BIS: Bureau of Industry and Security）は、許可例外License Exception（EAR Part 740）のＣＩＶ（Part740.5）を２０２０年６月２９日に削除（Elimination of License Exception Civil End Users(CIV)；23470 Federal Register/Vol.85, No.82/Tuesday, April 28, 2020/Rules and Regulations）することを発表した。

ＣＩＶは４大許可例外（筆者による分類；他の３つはLVS,GBS,TSR）のうち、Ｄ：１国群（中国、ロシア等。但し、北朝鮮を除く。）向けの輸出・再輸出に有効なものであり、規制理由がＮＳ（国家安全保障）理由のみであって、民間エンドユース用として民間エンドユーザー（to civil end-users for civil end-uses）に輸出・再輸出する場合に適用可能であった。対象の品目はcategories ０～９（ECCNの一桁目）のitems（貨物・ソフトウ ェア・技術）に適用できるので、Ｄ：１国群向けの輸出・再輸出に有効な許可例外であった。

しかしながら品目itemsにはdual-useの問題があること、軍用と民用の境界があいまい（military-civil fusion）であること、一度輸出されると国内移転(in-country transfers)の管理が困難であることから、ＣＩＶの削除に至ったという次第である。米中技術覇権争いの一環であることは言うまでもない。

従来ＣＩＶを利用していた日本企業は、米国製品目を再輸出する際に改めてＥＡＲの見直しが必要となる。

横堀 勝一