外国為替及び外国貿易法(外為法)の改正について
安全保障貿易管理において、根拠法となる外国為替及び外国貿易法(以下、外為法)が改正されました。
平成29年3月3日閣議決定で、5月24日公布です。
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170303001/20170303001.html
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/law09.html#602
公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日から施行、との事で、現在は、「外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(案)」等に対して、パブリックコメント募集中です。
改正点は、安全保障貿易管理に関連する事として、行政制裁・罰則が強化された事です。
まず、制裁を回避するための別法人への就任等を禁止できる制度が創設されました。当該業務を担当する役員になる事を禁止することが出来る、とあるのですが、役員の後に( )書きがあり、いかなる名称を有する者であるかを問わず、支配力を有するものと認められる者を含む、とあり、かなり対象範囲が広い内容となっています。(第五十三条 第3項及び第4項、共に新設)
次いで、検査権限出来る範囲も広がり、取引等を行った者だけでなく、関係者も対象となっています。
(第六十八条)
その他、独自制裁違反に対する制裁期間が1年だったものを3年に延長されました。
(第五十三条第2項)
次に、罰則についてですが、罰金が大幅に上がっていると共に、法人への罰金が重科される事になりました。(第六十九条の六、第六十九条の七、第七十二条)
また、付された条件に違反した場合における過料の罰則化も創設されています。
(第七十条三十五、新設)
罰則について、次ページの表にまとめましたので、御参考に願います。
この様に、罰則・行政制裁が強化されていますので、該非判定にも一層の注意が必要と考えます。お困りの際は、CP&RMセンターへ御相談ください。
表.外為法改正に伴う、罰則の強化
対象 | 大量破壊
兵器関連 |
通常兵器
関連 |
その他 | 付された
条件に違反 |
||
現行
制度 |
個人
・法人 |
根拠
条文 |
第六十九条の六第2項 | 第六十九条の六 | 第六十九条の七 | 第七十三条 |
懲役 | 十年以下 | 七年以下 | 五年以下 | - | ||
罰金 | 1000万円
or 価格の5倍 の高い方 |
700万円
or 価格の5倍 の高い方 |
500万円
or 価格の5倍 の高い方 |
10万円以下の過料 |
対象 | 大量破壊
兵器関連 |
通常兵器
関連 |
その他 | 付された
条件に違反 |
||
改正後 | 個人 | 根拠
条文 |
第六十九条の六第2項 | 第六十九条の六 | 第六十九条の七 | 第七十条三十五 |
懲役 | 十年以下 | 七年以下 | 五年以下 | 三年以下 | ||
罰金 | 3000万円
or 価格の5倍 の高い方 |
2000万円
or 価格の5倍 の高い方 |
1000万円
or 価格の5倍 の高い方 |
100万円
or 価格の3倍 の高い方 |
||
法人 | 根拠条文 | 第七十二条一 | 第七十二条二 | 第七十二条三 | 第七十二条五 | |
罰金 | 10億円
or 価格の5倍 の高い方 |
7億円
or 価格の5倍 の高い方 |
5億円
or 価格の5倍 の高い方 |
100万円
or 価格の3倍 の高い方 |
山田 徹