自動運転車

前回指摘したドローン(無人飛行体)については、改正航空法による飛行許可制が12月10日に施行されたとの報道(日経新聞2015年12月10日、以下日経新聞、2015年は省略)があり、法規制は一段落したと思われる。

引き続き無人シリーズとして、自動運転車を採り上げる。最近の新聞等では自動運転車に関する記事が数多く報道されている。例えば、高速道路でのデモ運転については国内の車メーカー各社(トヨタ;10月7日、ホンダ;11月5日)が既に行っている。最終的には無人で自動車を運転することにあり、目標は2020年の東京五輪で公道を走るようにすることだと云われている。課題は道交法で、運転手が居ないと自動車は公道を走れないので、規制緩和が検討(11月5日)されている。それ以外にも、事故が起こった場合の責任の所在は、管理者か、車メーカーかの問題もある。

ここでは道交法以外の問題点について考えてみたい。最初に「何の目的に自動運転車を使用するのか」と云う点が不確かである。自動ブレーキの場合は誰でも装備したいが、無人タクシーはまだ誰も乗らないと予想される。英国の調査では7割の人がNoと(日経テクノロジー10月1日)答えている。人の意識の転換には相当年月が必要だと思う。私がイメージできるのは、山奥の鉱山で無人の作業車が働いている姿くらいで、障害を持つ運転者の支援なら役立つので、実現を望む人が出てくる可能性はある。

次に「技術開発の本質は何か」ということである。現状では自動運転車の技術開発競争が激しい上、車各社以外に、Gougle(9月11日)、IBM(10月9日)、パナソニック(3月10日)、ソニー(8月25日)などのIT会社、更には日立系(11月14日)も開発競争に参入している。

予想される開発技術の領域は、センサー、ロボット、集積回路などのエレクトロニクス、IoT等の情報統合活用技術、高機能PC、セキュリティ関連と多岐に亘る。この中で何が鍵の技術になるのか予想できない。基本的には、自動運転車には多数のセンサーがセットされ、そのデータを総合して運転情報を作成し、その後メカニカルな動きに変換することが必要であることである。

気がかりなのは、これら全ての技術は外為法の規制項目であることである。以前に燃料電池車(FC)について該非判定の予備調査をしたことがあるが、自動運転車の場合は武器に転用されると強力な兵器となり、ドローンの場合とは比較ならないほど影響力は大きい。現に車を使用した自爆テロは多発している。またISが使用している乗用車にはトヨタ車が多いことを米国で問題視しているとのニュースも報道された。

自動運転車は軍事転用されるとその影響が大きいので十分な予防策が必要と考える。今後も自動運転車についての開発技術に注目し、車の仕様が確定した時点で該非判定にトライしてみたいと考えている。 (2015.12.16.八若記)