『中国輸出管理法逐条解説』の発刊について

本書は2020年12月に中国が施行した中国輸出管理法の逐条解説本です。著者3名は技術士であって、安全保障貿易センター(CITEC)のSTC Expertの資格を有しており、外為法及び米国法EARに精通しております。

中国輸出管理法は第1条から第49条にて構成されています。最初に中国輸出管理法の日本語訳を行い、それを中国人専門家が校正したものを基礎にして、全条の逐条解説本を完成しました。各条は「中国輸出管理法-日本語訳-解説」の3部から構成されています。
解説では中国輸出管理法の説明とともに、日本の外為法との比較を行いました。中国では輸出管理を国務院(行政府)と中央軍事委員会とが実施していること、米国法EARと同様に域外適用もしていることに特に注意する必要があります。

本書の内容を把握して頂くために、第1条の記載を添付しました。
当分野に関心を有する実務者・研究者・中国関連企業に、ご一読をお薦めします。

・中国輸出管理法逐条解説:発行日 2021年11月30日、表紙は下記参照、
A4版、ページ数 55頁、定価 5千円(税別)

・本書に関するお問い合わせは、編集責任者の横堀勝一(K.Y.国際技術士事務所)にお願いします。
住所:〒2740-0824 船橋市前原東5-36-11
TEL&FAX:047-477-1901
Mail address:kytechno@nifty.com

横堀 勝一


(添付資料)中国輸出管理法逐条解説:

第一章 総則

第1条

第一条 为了维护国家安全和利益,履行防扩散等国际义务,加强和规范出口管制,制定本法。

日本語訳

第一条 中国国家の安全と利益を維持し、不拡散などの国際義務を履行し、輸出管理を強化及び規制するために、本法を制定する。

解説

第1条は日本の外為法第1条に相当する。中国輸出管理法の目的を定めている。

日本の外為法では「この法律は、外国為替、外国貿易その他の対外取引が自由に行われることを基本とし、対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し、………我が国経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」とある。

まずは「安全」が両法には規定されているが、日本では「平和の維持」を第一としている。一方中国では、「国家の利益の維持」を重視している。また日本では「必要最小限の管理又は調整を行う」とあって、「必要最小限」という制限がかかっている。一方中国では、「輸出管理を強化および規制する」とある。

すなわち中国では平和よりも国家の利益、そのために輸出管理の強化を第1としていることに注意する必要がある。