STCエキスパート試験におけるEAR問題:前年度出題内容と2022年度出題予測

米国法EAR(Export Administration Regulations)は米国国内だけでなく域外適用されることから、安全保障貿易管理を行う上で必須の法律である。

 安全保障貿易情報センター(CISTEC)が主催しているSTC(Security Trade Control) Expert試験でも、EARに関する問題が25問のうちの3題出題され、うち択一式が1~2問、選択式が2~1問出題される。

エキスパート試験に合格するためには3問中2問は正解を得る必要がある。またSTC Expert試験では、点数配分の多い選択式問題のうち少なくとも1問はEAR問題である。

まず2021年度の各EAR問題の内容について確認する。

2021年度のSTC Expert試験を振り返って見ると、択一式としての問題が2問(問題19、20)、選択式として1問(問題24)が出題された。

内容は直接製品(問題19)、規制品目リスト(CCL:Commerce Control List)(問題20)及びBISへの許可要請の必要性(問題24)に関する出題であった。

そのうちEAR99に関する問題が問題19のC及びD,問題20のD,問題24の1及び3と合計5問あり、EAR99については整理しておく必要がある。

許可例外については問題20のE,及び問題24の問題4(問題1,2も関連)が出題された。

特に問題20のEのCIV(Civil end-users)については前年も出題されており、EARから削除修正された許可例外が再度出題された。CIVはD:1国群にも使用可能であったので、使用頻度の高い許可例外であったのであろう。

①問題19:直接製品(direct product)に関する問題である。Entity List掲載者への直接製品の規制強化、EAR99との関係、The Wassenaar Arrangementとの関係が問われた。

②問題20:規制品目リスト(Part 738:CCL;Commerce Control List)に関する基本的問題である。CP&RMセンター発行のテキスト「安全保障貿易管理に関する法令及び実務の基本知識」に詳細に説明されている。

③問題24:許可例外、de minimis rule、武器禁輸国に関する多岐にわたる問題であり、EARの総合的な知識が問われている。

 

2.2022年度Expert試験のEAR出題予測

ここでは、2023年3月6日(月)に実施されるSTC Expert試験の出題のうち、EARに関する出題3問を大胆に予測する。

①Part734,736,738問題: EARの定義に関する問題である。公知の技術、みなし再輸出、接製品、組込比率ついて、改めて出題される可能性が高い。特にBISは半導体・高性能コンピュータに関する直接製品規制を昨年強化したので、出題の可能性が高い。

②Part 740問題:許可例外の問題は毎年出題されるので、今年も必ず出題される。昨年は許可例外について2つの問題に分散されて出題されたが、今年は許可例外単独の問題として出願されると考えられる。特に3大許可例外GBS、LVS、TSRと新たな許可例外ACEについて理解しておく必要がある。ACEについてはCP&RMセンターのブログ欄を参照して頂きたい。

③Part744、746問題:禁輸問題としてPart 744のEntity List規制、Part 746のロシア規制については直近のEAR改正があったので、出題される可能性が高い。

 

CP&RMセンターは安全保障貿易管理の専門家の養成を目的としてセミナーを開催してきており、そこで使用するテキスト「安全保障貿易管理に関する法令及び実務の基本知識」を発行している。

CISTECのSTC Expert試験のEAR問題3問のうち2問に正解するために、当該テキストに今一度目を通すことをお勧めする。

以上

横堀 勝一