安全保障貿易管理 技術用語解説集 No.5-1「工作機械 工作機械用/工作物/中ぐり」

用語
項番

工作機械 工作機械用/工作物/中ぐり

2-12、6-2、6-3、6-6.2-12省14、2-12省17、4-16省17の3、6-2省 2、6-2省3、6-3省5、6-6省8、6-8省10、解2、解6、解5/解6/解2

 

工作機械とは、図1に示すようにワーク(work 工作物)とツール(tool 工具)の間に加工に必要な相対運 動を与え、ワークから不要部分を除去して、必要な部分のみを残して完成品とすることを目的として 創られたものである。相対運動として、主として切りくずを生成する「切削」と、主として仕上面を 創成する「送り」とがあり、通常、前者は回転運動で、そして後者は直進運動であることが多い。こ れらの運動は、加工精度すなわち加工された工作物の精密な仕上がりに影響するため、正確に行われなければならない。

この運動の精度としては、形状精度と寸法精度が ある。形状精度を確保するために、いわゆる母性原則 (copying principle)が用いられ、寸法精度のために は数値制御(NC: numerical control)サーボ機構*が 用いられる。母性原則とは、より高精度なマスタ形状 にならって運動を発生させることによって、精度はわ ずかに劣るがはるかに速度の高い運動を作り出し、こ の運動によって加工を行って、工作物に必要な精度と 加工能率の両方を確保しようとするものである。

運動の寸法精度は、1980年ごろまではオペレータ が測定機を用いて確保していたが、最近では前述のよ うにNCサーボ機構によって確保するようになった。

すなわち、工作機械にスケールを取付け、現在位置を検出して指令位置と比較し、両者の差を極めて 小さな範囲内にとどめる追従制御を行わせることによって、寸法精度を確保している。さらに、2軸 (あるいはもっと多数の軸)の位置の間に、ある特定の関係をもたせることによって、円弧、傾斜直 線などの形状を創成できるようになった。

このNCサーボ技術を全面的に採用した数値制御工作機械が登場するまでは、純粋に機械的な機構 によってこれらの輪郭形状を創り出す必要があったため、非常に多くの機種の工作機械が考案され使 用されてきたが、最近では工作機械の機種は統合されて少なくなっている。図1に示した干渉の方法 (材料除去の方法)によって、工作機械は切削加工機、研削加工機、砥粒加工機などに分類され、制 御軸数の違いによって2軸加工機(Z,X:旋盤)、3軸加工機(X,Y,Z:立て形マシニングセンタ)、 4軸加工機(X,Y,Z,B:横形マシニングセンタ)、5軸加工機(X,Y,Z,A,B)などに分類される。

旋盤・ターニングセンタ

旋盤(lathe)はワークを回転させて切削運動と し、おもにバイトなどの工具に送り運動を与え、 外丸削り、面削り、テーパ削り、穴あけ、中ぐり、 ねじ切りなどの加工を行う機械である。最も基本 的なものは、普通旋盤(engine lathe 図2)(1)であり、 主軸を回転させる主軸台、工具を取付ける刃物台、 工具を送る横送り台・往復台、工作物の一端を支 持する心押し台とこれらを載せるベッドで構成さ れる。また、普通旋盤の心押し台の代わりにタ レットと呼ばれる工具保持台をもつタレット旋盤、 大形の工作物の旋削を可能とするため工作物を水 平面内で回転させる立て旋盤(図3、別紙参照)(1)な どがある。

*サーボ機構(サーボきこう)とは、物体の位置、方位、姿勢などを制御量として、目標値に追従するように自動で作動す
る機構。自動制御装置。 サーボ(Servo) の語源はラテン語の”servus”(英語のslave・servantの意)。

参考文献
(1) JIS B 0105:1993, 工作機械―名称に関する用語