安全保障貿易管理 技術用語解説集 No.1「アイソスタチックプレス」

用  語 項  番
アイソスタチックプレス 2-14、4-13、6-4、2-14省9、4-13省14、6-4省6、解
2、解6

アイソスタチックプレスは、英語のisostatic press(ing)のことで、略して、I.P.とも記され、一般的な技術用語としては、アイソスタティック成形 [[JIS]粉末や(冶)金用語]1)と記される。

静水圧等の等方向からの圧力を作用させて粉体の成形あるいは固体の圧密化あるいは加工を行う方法であり、室温で圧力媒体として水等の液体を用いて行う場合をコールドアイソスタティック成形(cold isostatic pressing; CIP (シップ))と高温で、圧力媒体としてアルゴン等のガスを用いるホットアイソスタティック成形(hot isostatic pressing; HIP(ヒップ))とがある。

コールドアイソスタティック(冷間静水圧)成形(図1参照)

室温で数千気圧の圧力を加え、粉体成形品などの圧密化をはかる技術。HIPとの相違は、加熱しないことと対象が粉体成形品に限られることである2)。 実際には、ゴム型を使用し、成形体全表面に液圧をかけ、均一に加圧成形する方法。粉体あるいはあらかじめ成形した原料をゴム型に入れ、加圧された液中で成形する方法(wet bag method)と圧力容器内につけたゴム製の壁を介してゴム型に液圧を加える方法(dry bag method)がある。ゴム型を用いることから、ラバープレス(rubber press)とも呼ばれる。成形体内の密度差が少ないため焼成ひずみの少ない製品が得られる。発熱体、スパークプラグなど高負荷で使用する材料の成形に適している3)。

ホットアイソスタティック(熱間静水圧あるいは高温静水圧)成形(図2参照)

材料の自己拡散が可能な温度において、鋳造材、⇨粉末冶金製品あるいは焼結前の粉末成形体に、数千気圧の圧力をかける加圧熱処理をいう。この処理を施すと一般に材料内部の空洞の消失が促進され、鋳造材の場合には鋳造欠陥の除去、粉末冶金製品の場合にはボイドなどの欠陥の除去がはかれるほか、焼結前の粉末成形体では加圧下の焼結による緻密な成品の製造が可能になる。また器具を工夫することにより2種類以上の物体の圧接などを行うこともできる。加圧媒体はアルゴンガスが多く用いられる。日本では 1970年代から超硬工具の製造に用いられてきたが、一般に→超合金、→高速度鋼、→チタン合金など付加価値の高い材料が対象になる2)。

安全保障貿易管理 技術用語集

参考文献
  1. 『180万語対訳大辞典 科学・医学・工学・農学・化学・ビジネス』日外アソシエーツ株式会 社
  2. 『ブリタニカ国際大百科事典』 Britannica Japan Co., Ltd./ Encyclopaedia Britannica, Inc.
  3. 『岩波 理化学辞典 第5版』 岩波書店
主要メーカー等URL:

HIP装置
KOBELCO 中・大型HIP装置
株式会社IHI機械システム 新素材製造設備 概要

技術紹介
Hot Isostatic Pressing (HIP) -youtube動画-

CIP装置
KOBELCO 高温・高圧利用技術 冷間等方圧加圧法
三菱重工マシナリーテクノロジー株式会社 CIP装置(冷間等方圧加圧装置)
三庄インダストリー株式会社 冷間静水等方圧プレス機
日機装株式会社 大型冷間等方圧プレス
エヌピーエーシステム株式会社 冷間静水等方圧プレス機(CIP成形機)
三庄インダストリー株式会社 冷間静水等方圧プレス機(CIP成形機)-Youtube動画-